永住権(グリーンカード)喪失を防ぐ ~永住権の放棄を回避するためのヒントを教えます~ Snehal Batra弁護士

 

米国の永住権(グリーンカード)を手にするには、とても長く複雑な道のりであり、多くの外国人にとってはまさにアメリカンドリームを達成するための第一歩です。

グリーンカードは「合法的永住権Lawful Permanent Residence (LPR)」を意味しますが、名前通りとはいかず、永久的なものではありません。ステータスを保つためには、永続的に米国に居住する理由を証明する必要があり、本人の意図しないステータス放棄を防ぐための予防措置をとる必要もあります。

 

グリーンカード保持者は、通常、米国帰化を申請するか、LPRを失う、もしくは放棄するまでステータスを維持することができます。またグリーンカード保持者は国外追放の可能性もあるため、米国から他の国へ移動することができます。この記事は米国を長期不在にしたため、放棄とみなされ法的永住者のステータスを失ってしまうことに焦点をあてて紹介します。

 

昨今、インド人コミュニティではLPRステータスに関する誤情報を耳にします。

例えば、半年ごとに米国を訪問することで海外に住みグリーンカードを維持できると考えられている、また1年以上米国外に留まっている場合にLPRステータスの喪失が起こると考えられているのです。これらの誤解により本人が意図しないところでステータスを失う危険性があります。米国を長期間不在にし再度米国に帰国する場合、入国地で税関国境警備局(CBP)へグリーンカードを提示しただけでは、米国に再入国することを保証できないのです。

 

帰国する際、LPRは一時的な海外訪問の後、合法的な永住権として使用されるかどうかの証明を要求しています。グリーンカードを提示したにも関わらず、LPRステータスを放棄するかどうかに関して質問されるかもしれません。また1年以内の不在後にグリーンカードで入国しても米国に再入国することは保証できません。海外訪問が「一時的」であることを意図していること、その意図が事実と一致していない限り、保証はできないことになります。

 

一時的、または短い旅行は通常グリーンカードのステータスに影響はありません。しかし米国にずっと住むつもりがないと判断された場合は、LPRステータスを放棄したと見なされます。

 

米国から6ヶ月以上の不在が続くと、LPRステータスを放棄したと推定されます。米国に1年以上滞在していない永住者はグリーンカードのステータスに戻るのは難しいでしょう。

 

LPRステータスを放棄したかどうかを判断するための具体的な決め事はありません。放棄の問題は海外で過ごした時間の長さではなく滞在の意図によります。「一時的な訪問とは経過時間の観点から定義することはできない(※)」と入国管理局(BIA)により主張されています。米国外で米国に永住し帰国する意向を示すことは困難なことです。

(※Matter of Huang、19 I&N Dec. 749, 753 (BIA 1988)参照)

 

あなたが米国に帰国時、税関国境警備局(CBP)はあなたが住居を放棄したと思った場合、グリーンカードを放棄する声明(フォームI-407)に署名するよう説得してくるかもしれません。声明に署名することを拒否した場合、出頭通知(NTA)を発行され、撤退手続に置かれることがあります。LPRはグリーンカードをその流れで言われるまま放棄してはいけません。撤退手続において最終撤去命令が出されるまでは、LPRステータスのままであることを知っていてください。政府は、明確な説得力のある証拠によって放棄を証明しなければならないためです。(Matter of Huang, 19 I&N Dec. 749 (BIA 1988)参照)

 

ステータス放棄の問題が発生した場合は、米国との関係、米国外への訪問の目的、および海外での訪問の終了予定日、特定の日付が正しいかどうかを示す事実の発生の証拠を提示する必要があります。あなたが一時的に海外に行くのかどうか、あなたが米国の家族との関係を維持するか、米国の雇用を維持するか、居住者として米国所得税を提出するか、米国の銀行口座を持っているか、米国の有効な運転免許証を所有しているか、または米国で事業を営んでいるかなども含まれます。

 

永住権を失うことを避けるためのいくつかのステップは、米国からの長期出国を避けること、また米国との継続的な関係を維持することでしょう。

 

  • 家族関係 –  LPRは米国内の家族と密接な関係を保っていますか、それともLPRの親密な家族は米国外に居住するつもりはありませんか。

     

  • 雇用 –  LPRは米国で仕事をすることができますか。それとも米国外で働いていますか。

     

  • 所得税申告 –  LPRは、米国居住者として米国の納税申告書を提出していますか。

     

  • 財産 –  LPRは米国で財産を所有、または賃貸していますか、それとも他の国で財産を所有または賃貸していますか。

     

  • 地域社会とのつながり –  LPRは米国内の組織に積極的に関与している、または関係していますか。

 

LPRが1年以上米国外に留まる場合、そのグリーンカードの無効化を要求し、国土安全保障省(DHS)は居住も放棄されたと見なします。居住地は、海外に住んで仕事をしているが毎年米国を訪れている場所でさえも放棄されたと見なされることがあります。長期間米国外に留まることを計画しているLPRの中には、再入国許可を得る資格がある場合もあります。2年以上米国外にいる場合は、米国からの出発前に許可された再入国許可は期限切れになります。この場合、米国大使館、または領事館で帰国ビザ(SB-1ビザ)の申請を検討することをお勧めします。

 

6ヶ月以上米国からの不在は、帰化のための継続的な居住要件を脅かす可能性があります。不在期間が1年以上であり、帰化目的で米国での継続的な滞在を維持したい場合は、帰国目的で居住を維持するための申請書を提出することができます。

 

現在米国に入国する人々、さらにはグリーンカードを保有する人々にも、厳しい精査があります。長期間米国を離れる前に自分のLPRステータスを維持する方法を理解することが重要です。適切な法的助言を得ることは、あなたが米国に帰国する権利を守り、LPRステータスを維持し、帰化の資格を守るために重要です。このトピックや他の移民問題の詳細については、Snehal Batra弁護士までお問い合わせください。 Snehal_Batra@visaserve.com(英語)

Batra弁護士…NJ州にあるNPZ法律事務所の代表弁護士の一人であり、米国ビジネスや家族の移民ビザ、および帰化などの全ての分野を取り扱っています。企業の派遣ビザ(Lビザ)、H-1Bビザ、など企業への国際ビジネスも支援し、また頻繁にインドを訪れ、L-1AビザとEB-5ビザに関するセミナーも開催しています。

 

★Batra弁護士も所属するNPZ法律事務所は、雇用、家族、帰化、退去などあらゆる種類の移民問題を扱う米国の移民法法律事務所です。ビザのことはお気軽にご相談ください。(内線107もしくは、内線112まで。※112は日本語直通)
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