アメリカ合衆国憲法では両親の移民ステータスに関係なくアメリカ国内で生まれたすべての人にアメリカの市民権を保障してきました。
しかし最近発令された「アメリカ市民権の意義と価値を守る」(Protecting the Meaning and Value of American Citizenship) と題された大統領令はこの長年の慣習に重大な変更をもたらすかもしれません。新しい命令はアメリカで生まれた子どもは少なくとも一方の親がアメリカ市民または合法的永住者(グリーンカード保持者)である場合、そして出産がアメリカの領土内で行われることで子どもが市民権を取得できるようになるというものです。この変更は、H-1B、L-1、Eビザ等のビジネス移民ビザでアメリカに滞在している家族に直接影響を与えます。非移民ビザ保持者の子どもは自動的にアメリカ市民権を取得できなくなり、親のビザカテゴリーに基づく従属的な非移民として扱われます。出生時はアメリカのパスポートは取得不可のため、市民権を示す出生証明書やパスポートは発行されず、子どもは親のH-4、L-2ビザなどに基づいて滞在資格を取得する必要があります。ただし、この発令に対してワシントン州の連邦判事が一時的差し止め命令(TRO)を出し、大統領令の施行を阻止しているのが現状です。今後さらなる訴訟があり、最終的にはアメリカ連邦最高裁判所が判断を下すと予想されています。この差し止め命令が継続されている間はアメリカ国内で生まれたすべての子どもに今までのルールが適用されます。重要なのは雇用主と外国人労働者は、今後の動向を注意深く見守る必要があるということです。雇用主は外国人労働者が従属する子どもに対して、ステータスを正確に維持できるようにしておきましょう。そしてこれから想定される問題を回避するために、正確な書類を保持することも重要です。今は不透明な状況が続いているので、該当者は今後の動きをしっかりと把握して、その都度対応できるようにすることが大切です。